雄峯菊仙

本作品は制作の半年前になくなった、作者の祖父をモチーフにしたインタラクティブ・インスタレーション作品です。
通常は薄暗い空間に遺影が設置されていますが、その前に鑑賞者が立つとそのシルエットの部分のみが明るくなり、
残像として遺影を鮮明に映し出します。
そして、祖父について語るナレーションのボリュームも増大し、聞き取りやすくなってゆきます。
また、鑑賞者がその場を去ってもその残像はわずかな割合で蓄積され、最終的には鑑賞者が遺影の前に
立たなくとも常に鮮明に映し出されるようになり、ナレーションも増大したままとなります。

雄峯菊仙
2005年9月制作

学生CGコンテスト最終審査ノミネート

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祖父の死
2005年2月11日。母方の祖父が永眠しました。作品表題の『雄峯菊仙』とは、祖父の戒名です。
祖父の生前、見舞いへ行くと彼は思ったよりも元気そうでしたが、死期が近いことを感じていたらしく、私にさまざまなことを語ってくれました。
母方の祖父とは同棲はしていなかったこともあり、幼い頃から接してはいたものの、こんなに密に話したのはこれが初めてであり、大変貴重な時間をすごしました。
そして祖父の人柄について幼い頃から私が感じていたことが、祖父の死直前にして少しずつ確信に変わっていったのです。
身内である私が言うのもおかしいのですが、祖父はすばらしい人でした。
そして身内であるからこそ祖父の存在を多くの人に知って欲しいし、いつまでも忘れずにいてもらいたいと願うのです。


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